NISAで積み立てていた投資信託が、300万円から270万円に下がっている。
証券会社の画面を開くたび、赤い数字が目に入る。
「老後まで少し時間はある。でも、20代や30代ほど先が長いわけでもない。このまま持っていて大丈夫なのか。今のうちに売ったほうがいいのか」
50代になると、値下がりした数字そのものより、「もう若くない」という感覚が不安を大きくしがちです。
退職、年金、住宅ローン、親の介護。
先送りしてきたお金の話が、急に現実味を帯びてくる時期でもあるでしょう。
だからこそ、ここで年齢に引っ張られすぎないことが大切です。
「50代だから売る」「値下がりしたから持ち続ける」と先に結論を置くより、まず確認したいのは二つ。
このNISAのお金を、いつ使うのか。
その時まで、ほかのお金で家計を回せるのか。
50代のNISAで見たいのは、年齢そのものよりも、値下がりした状態で待つ余力が家計に残っているかです。
2024年からのNISAは、非課税保有期間が無期限です(金融庁「NISAを知る」)。
60歳や65歳を迎えた途端に売却を求められる制度でもありません。
売却ボタンを押す前に、いったんNISAの画面から離れて、家計全体を広げて見てみましょう。
お金見直し中値下がりしているのを見ると、今売らないともっと減る気がしてしまいます。
50代だと、待っている時間もあまり長くないですよね?



そこがいちばん気になるところですよね。
ただ、先に見たいのは年齢より、このNISAを何年後に使う予定かです



60歳や65歳まで、あと何年あるかを見るんじゃないんですか?



退職する年齢より、NISAを実際に取り崩す時期のほうが大切です。
まず「このお金をいつ使うか」を決めるところから整理してみましょう
- 50代でNISAが値下がりしたとき、売る前に確認したい5つ
- 「持つ・積立を減らす・一部売る」を分ける考え方
- 年金・退職金・預貯金まで含めて判断する方法


NISAの投資信託が値下がりしても「50代だから売る」とは決めない
評価額が下がると、「これ以上減る前に売ったほうがいいのでは」と考えますよね。
50代なら、なおさらです。
「戻るまで待っているうちに60代になってしまうのでは」
「老後資金なのに、このまま減ったら困る」
そんな心配が浮かぶのも無理はないでしょう。
ただ、値下がりしたという一つの事実から売却まで一気に進むと、判断を急ぎすぎることも。
同じ30万円の含み損でも、その30万円が3年後に必要なのか、15年後に使う予定なのかで話は変わります。
さらに、預貯金が十分にある家庭と、手元資金に余裕が乏しい家庭でも、受け止め方は違ってきます。
| 確認する順番 | 見ること | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 1 | 使う時期 | このNISAのお金を何年後に使うのか |
| 2 | 手元の現金 | 近い将来の支出を預貯金でまかなえるか |
| 3 | 60代以降の収入 | 年金・退職金・企業型DCなどはいくら見込めるか |
| 4 | これからの支出 | 住宅ローン・教育費・修繕費などが残っているか |
| 5 | 投資信託の中身 | 現在の家計に対してリスクが大きすぎないか |
含み損の大きさより「いつ使うお金か」を先に確認する
投資信託が100万円から90万円になった。
300万円が240万円になった。
数字が大きいほど、「ここで止めたほうがいいのでは」と気持ちが揺れやすくなります。
けれど、売るか持つかを考えるときに、損失額と並べて確認したいのが使う時期です。
たとえば、同じ20%の値下がりでも、
- 2年後の住宅リフォームに使う予定のお金
- 70代以降の生活費として準備しているお金
この二つでは、待てる時間がまるで違います。
| 2年後のリフォーム資金 | 70代以降の生活費 | |
|---|---|---|
| 使う時期 | 近い | 比較的先 |
| 値下がりを待てる期間 | 短い | 長く取れる可能性がある |
| 先に確認すること | 予定額を現金で確保できるか | それまでの生活費を別資金でまかなえるか |
| 考え方 | 必要な資金の確保を優先して検討 | 値下がりだけで売却を急がず家計全体を確認 |
2年後に300万円を使う予定なら、その時点で相場が下がっていても現金化を迫られる可能性が出てきます。
一方、NISA資産を当面使わず、生活費や近い将来の支出を預貯金で賄えるなら、急いで取り崩す場面は少なくなります。
ここで、50代によく出てくる考え方を一つ。
「55歳で65歳退職なら、運用できるのはあと10年」
計算としてはわかりやすいのですが、家計はそれほど単純でもありません。
退職する年齢と、NISAのお金を使い始める年齢は一致するとは限りません。
65歳で退職しても、退職金や預貯金、公的年金で当面の生活費を賄えるなら、NISAを70代まで保有する選択も考えられます。
反対に、58歳で60歳のリフォーム資金を株式中心の投資信託に置いているなら、使う時期はすぐそこです。
見るべき数字は「今、何歳か」より、「このお金を何年後に使うか」。
こちらを先に置くと、判断がかなり整理しやすくなります。
長期・積立・分散でも、値下がりは起こる
「長期投資なら、そのうち戻るんですよね?」
相談の場でも、よく出てくる問いです。
長期・積立・分散は、投資のリスクを抑えるうえで大切な考え方です(J-FLEC「リスクを抑えて賢くふやす!3つのポイント『長期・積立・分散』」)。
ただし、長く持てば必ず利益になる、という約束まではしてくれません。
株式や投資信託の価格は、市場環境によって上がったり下がったりします。
海外資産を含む商品なら、為替の動きも評価額に響きます。
そこで避けたいのが、両極端な決め方です。
「長期なら、そのうち必ず戻る」
「50代で下がったら、早めに逃げる」
どちらも、家計の条件を置き去りにしています。



でも50代なら、多少損が出ても早めに売って現金にしたほうが安全なんでしょうか?



年齢だけで現金に寄せると、今度は70代以降まで使わないお金まで早く運用を終えることになります



かといって、「長期なら持ち続ければいい」とも言い切れないんですよね



そうですね。何年後に使うか、近い支出を預貯金でまかなえるか。
この二つを確認してから、持つ金額と現金にする金額を考えるほうが現実的です
大切なのは、値下がりに耐えられる期間と、家計の余力がかみ合っているかどうか。
たとえば10年待てると思っていても、3年後にまとまった支出が控えているなら、その10年は実質的には使えません。
逆に、退職が近くても、NISAを取り崩す予定が70代以降なら、時間の見え方は変わります。
年齢より、使う時期。
ここでも判断の土台は生活設計です。
NISAで損切りする前に知っておきたい税金の扱い
値下がりした投資信託を売る前に、税金の扱いも確認しておきたいところです。
NISA口座で保有している投資信託を損失が出た状態で売却しても、その損失を特定口座などの利益と損益通算することはできません。
損失の繰越控除にも使えません。
たとえば、
- NISAで30万円の損失
- 特定口座で30万円の利益
という状態でも、両者を相殺して税額を計算する仕組みにはなっていません。
「それなら、NISAでは損切りしないほうが得なのでは?」
そう思うかもしれません。
ただ、税金を理由の中心に据えて保有を続けると、今度は生活設計とのズレを見落とします。
数年以内に使う予定のお金なのか。
今後もその値動きを受け入れられるのか。
資産全体の中でリスクを取りすぎていないか。
税制は大切な確認項目ですが、最終判断を決める主役は家計です。


50代が売る前に確認したい5つのこと
では、値下がりしたNISAを前に、何から見ればよいのでしょう。
私は、商品から先に考えるより、
使う時期→手元資金→60代以降の収入→これからの支出→商品の中身
という順番で整理するほうが、50代の家計には合いやすいと考えます。
値下がりした投資信託を見ていると、その商品ばかり気になります。
けれど、答えはNISAの外側にあることも多いのです。
| 確認するもの | 確認する内容 | NISAの判断との関係 |
|---|---|---|
| 預貯金 | 数年以内に使うお金を確保できているか | 値下がり時に売却を迫られる可能性を確認 |
| 公的年金 | 受取開始時期と見込額 | NISAをいつから取り崩すかに影響 |
| 退職金 | 受取額と使い道 | 退職後の生活費をどこまで補えるか確認 |
| 企業型DC・iDeCo | 残高と受取予定 | 老後資産全体で投資比率を確認 |
| 住宅ローン・大型支出 | 残高と今後の支払予定 | 投資に回せる金額が変わる |
1.このNISAのお金を最初に使うのはいつか
まず、「何のためのお金か」を少し具体的にしてみます。
「老後資金です」
ここで止めると、まだ幅が広すぎます。
同じ老後資金でも、
- 60歳で住宅ローンを完済するためのお金
- 63歳ごろの自宅リフォーム費用
- 65歳で退職したあとの生活費
- 70代以降の生活費
- 将来の医療・介護費への備え
では、使い始める時期が違います。
53歳で、NISAを使うのは70歳以降という人なら、まだ十数年残っています。
58歳で、3年後に使う予定の資金をNISAに置いている人なら、話は変わります。
相場が下がったままでも待てる期間はかなり短いですね。
「50代だから、もう長く運用できない」と一括りにするより、お金ごとに使用時期を決める。
ここから始めると、かなり見通しがよくなります。
2.NISA以外に、近い将来使えるお金はいくらあるか
次は預貯金です。
たとえば、NISAが600万円から500万円に下がった二人がいるとしましょう。
Aさんの預貯金は1,500万円。
Bさんの預貯金は100万円。
NISAでは同じ100万円の値下がりです。
でも、家計への重さは同じでしょうか。
50代は、まとまった支出が重なりやすい時期です。
子どもの教育費。
住宅の修繕。
車の買い替え。
親の介護。
自分たちの医療費。
退職前後の生活費。
こうした支出を預貯金でまかなえるなら、投資信託が下がった場面で「今売らないと生活費が足りない」という状況には陥りにくくなります。
反対に、数年以内に使う資金までNISAに回しているなら、運用額そのものを見直す時期かもしれません。
値下がり率を見る前に、一度通帳や預金残高も並べてみてください。
相場が下がったままでも、必要なお金を現金で出せるか。
50代では、この確認がとても大きな意味を持ちます。
3.退職金・年金・企業型DCなど、60代以降に入るお金はどうなっているか
50代になると、NISA一つを眺めても老後資金の全体像は見えにくくなります。
一緒に確認したいのは、公的年金、退職金、企業型DC、iDeCo、個人年金保険、預貯金などです。
たとえば65歳以降、公的年金で基本的な生活費の多くを賄え、退職金や預貯金にも余裕がある人なら、NISAをすぐ取り崩さずに済む可能性も考えられます。
一方で、
60歳でいったん退職し、収入が大きく下がる。
年金を受け取り始めるまで、生活費が不足する。
退職金の多くを住宅ローン返済へ回す予定。
こうした家計なら、NISAを使い始める時期が早まるかもしれません。
50代の資産形成は、「いくら増やせるか」から少し視点を広げる時期です。
これから入ってくるお金はいくらか。
いつから収入が減るのか。
その間を何でつなぐのか。
ここまで見えてくると、NISAを何歳まで運用するかも決めやすくなります。



NISAに年金、退職金、企業型DCまで見るとなると、何から手をつければいいのか分からなくなります



全部を一度に計算しなくても大丈夫です。
まず、退職してから年金を受け取り始めるまでの生活費を何でまかなうかを確認してみてください



そこが預貯金や退職金で足りるなら、NISAをすぐ売らずに済むかもしれない、ということですか?



そう考えると整理しやすいですね。
その次に、年金受給後もNISAを取り崩す必要があるかを見ていきます


4.住宅ローンなど、これから家計から出ていくお金はどれくらいあるか
資産を数えたら、次は出ていくお金です。
50代でも、住宅ローンが70歳まで残る人はいます。
子どもの大学費用が続く家庭も多いでしょう。
自宅の修繕時期が重なるケースも珍しくありません。
退職後に給与が大きく下がるなら、毎月の収支そのものが変わります。
こういう家計では、「今持っている投資信託を売るか」より、これから毎月いくら投資へ回すかのほうを先に見直したい場面も出てきます。
たとえば毎月10万円をNISAで積み立てている一方で、預貯金がじわじわ減っている。
この場合、いきなり保有分を全部売る前に、
毎月10万円を5万円に下げる。
新規積立をいったん止める。
賞与からの追加投資を控える。
こうした調整も考えられます。
今持っている資産をどうするか。
これから買う金額をどうするか。
この二つは分けて考えたほうが、家計に合った調整がしやすくなります。


5.値下がりした投資信託は、今の目的に合っているか
ここまで確認して、ようやく投資信託の中身を見ます。
まず知りたいのは、「20%下がった」という数字より、その商品が何に投資しているかです。
株式中心なのか。
債券も組み入れているのか。
国内と海外に分散しているのか。
一つの国や業種へ偏っていないか。
金融資産全体で見たとき、株式の割合が高くなりすぎていないか。
購入した当時は「老後まで20年ある」と考えて、株式中心の商品を選んだかもしれません。
でも、10年たてば家計も変わります。
住宅ローン残高が思ったほど減っていない。
退職時期が予定より早まった。
教育費で預貯金を多く使った。
そうなれば、購入時には合っていた商品でも、今の家計にはリスクが大きすぎることも。
一方で、相場全体の下落で一時的に評価額が下がっていても、使う時期が遠く、資産配分も今の家計に合っているなら、慌てて入れ替える必要性は下がります。
「下がったから悪い商品」と決めつけず、今の自分に合っているかを見直す。
この順番です。


確認した結果、「持つ・減らす・売る」をどう選ぶ?
ここまで家計を並べると、選択肢は「全部持つ」「全部売る」の二択より、もう少し細かく見えてきます。
持ち続ける。
積立額を下げる。
一部を現金化する。
必要な分を売却する。
50代では、このあたりを家計に合わせて組み合わせて考えるほうが現実的です。
| 選択肢 | 考えやすいケース |
|---|---|
| そのまま保有する | 使う時期が遠く、当面の生活費や近い将来の支出を預貯金で確保できている |
| 積立額を減らす | 保有分を急いで売る必要はないものの、預貯金が減っている、今後の支出が増える |
| 一部を売却する | 数年以内に使う金額を投資資産から切り離して確保したい |
| 売却を検討する | 使う時期が近い、手元資金が不足している、現在のリスクが家計に合わなくなっている |
4つの選択肢は、この順番で考える
値下がりしたときに、最初から「売るかどうか」を決める必要はありません。
ここまで確認した5つの項目を使い、次の順番で考えると整理しやすくなります。
まず、このまま保有を続けられるか
使う時期まで余裕があり、近い将来に必要なお金を預貯金で確保でき、今の投資信託の値動きも家計に合っているなら、まずは保有継続を検討します。
保有分を売らず、積立額を減らせば家計を整えられるか
投資信託そのものを急いで売る状況ではなくても、預貯金が減っている、住宅ローンや教育費の負担が続く、といったケースもあります。
その場合は、保有分に手をつける前に、これからの積立額を減らして手元資金を増やせないかを確認します。
数年以内に使う分が投資に残っているなら、一部売却を考える
たとえば3年後に300万円必要で、預貯金から200万円を用意できるなら、残る100万円をどう確保するかを考えます。
ここで初めて、必要な金額の一部を売却する選択が入ってきます。
保有を続ける前提そのものが変わっているなら、売却まで検討する
使う時期が大きく近づいた、投資している金額の多くを近いうちに使う、現在の商品リスクが今の家計に合わなくなった。
そんな場合は、保有全体を見直し、売却まで含めて考えます。
どこまで見直す必要があるかは、家計の状況によって変わります。
①の保有継続で収まる人もいれば、④の売却まで検討したほうがよい人もいます。
まず保有を続けられるかを確認し、難しければ積立額を調整する。
それでも必要な資金を確保しにくい場合は、一部売却や売却へと検討を進めます。
こう整理しておくと、値下がりした数字を見た勢いで結論を出しにくくなります。
そのまま保有しやすいケース
たとえば52歳。
NISAは70代以降の生活費として使う予定。
当面の生活費と緊急予備資金は預貯金で確保。
住宅ローン返済も家計の範囲内。
退職金や年金の見込みも確認済み。
保有しているのは幅広く分散された投資信託。
こうした状況なら、評価額が下がったことを理由に急いで売る必要性は低くなります。
将来値上がりする保証がある、という話ではもちろんありません。
ここで見ているのは、下がっている間も、使う時期まで待てる条件がそろっているかです。
値動きそのものを消すことはできません。でも、下がったときに売らされにくい家計をつくることはできます。
全部売らず「積立額・保有額」を調整するケース
58歳で、3年後に自宅リフォームへ300万円使う予定があるとしましょう。
その300万円まで株式中心の投資信託に含まれている。
この場合、「下がったから全部売ろう」と考えると話が大きくなりすぎます。
先に考えたいのは、
3年後に必要な300万円を、どう確保するか。
必要になる資金の一部を預貯金へ移す。
今後の積立額を減らして、現金を厚くする。
NISAの一部を売却する。
こうした方法も取れます。
評価額が下がると、「売るか、持つか」に意識が集中しがちです。
けれど50代では、資産全体のうち、どこまでを値動きのある資産に置くかという視点も欠かせません。
ゼロか100かで決めなくていい。
むしろ、その間をどう調整するかが大事です。


売却を検討しやすいケース
一部売却との違いも整理しておきましょう。
数年以内に必要になる金額がはっきりしていて、その不足分を取り出せば家計を整えられるなら、まず考えやすいのは一部売却です。
一方、NISAに置いている資金の多くを近いうちに使う予定になった、現在の投資信託の値動きが今後の生活設計に合わなくなった、といった場合は、保有全体を続けるかどうかまで見直します。
売却を考える場面としては、たとえば次のようなケースです。
数年以内に使う予定の資金まで投資に回していた。
預貯金が少なく、近い将来の支出に備えにくい。
退職後の収支を確認すると、NISAを早い時期から取り崩す可能性が高い。
想定より値動きが大きく、同じリスクを取り続けるのが難しい。
株式など値動きの大きい資産の割合が、今の生活設計に対して高すぎる。
こうしたときは、「値下がりしたから売る」と考えるより、これから必要になるお金と、現在取っているリスクがずれてきたので保有全体を見直すと整理したほうが判断しやすくなります。
なお、2024年以降のNISAで商品を売却すると、その商品の取得金額、つまり簿価に相当する非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。
100万円で買った商品が80万円に下がり、80万円で売却した場合を考えてみましょう。
翌年以降に再利用できる総枠は、取得時の100万円分として扱われます。
売却時の80万円が基準になる仕組みとは異なります。
| 場面 | 金額 | ポイント |
|---|---|---|
| 購入時 | 100万円 | 非課税保有限度額を100万円使用 |
| 値下がり後 | 80万円 | 評価額が20万円下落 |
| 80万円で売却 | 80万円 | 実際に受け取る売却額は80万円 |
| 翌年以降 | 100万円分 | 取得金額である100万円分の非課税保有限度額を再利用できる |
ただし、その年の年間投資枠に100万円が上乗せされる仕組みとも異なります。
売ったあとに買い直す可能性があるなら、この違いも頭に置いておきたいところです。



いろいろ確認することは分かりました。
結局、今日やるなら何から始めればいいですか?



まず、NISAのお金をいつ使う予定かを書き出します。
次に、その時までに必要な生活費や大きな支出を預貯金でまかなえるか確認してみてください



そのうえで、今の投資信託を持ち続けるか、積立を減らすか、一部売るかを考えるんですね



その順番なら、値下がりした数字に急かされず、家計に合わせて判断しやすくなります






まとめ|50代のNISAは「何歳か」より「いつ使うか」で考える
50代でNISAの投資信託が下がると、「もう時間が少ないのでは」と不安になります。
けれど、最初に見るべきなのは損失率でも年齢でもありません。
このお金を、いつ使うのか。
そこから考えます。
その時まで預貯金や収入で生活できるか。
年金や退職金はいくら見込めるか。
住宅ローンや教育費など、大きな支出がこの先に控えていないか。
今持っている投資信託の値動きが、現在の家計に合っているか。
ここを整理すると、持ち続ける、積立額を下げる、一部を現金化する、売却するといった選択肢のどれが自分に近いのかが見えてきます。
50代は、20代や30代より退職が近い世代です。
とはいえ、NISAのお金を実際に使うのが70代以降なら、そこまでの時間は残っています。
「50代だから、そろそろ売ったほうがいい」と年齢で区切るより、自分がそのお金を使う時期から逆算するほうが、ずっと現実的です。
値下がりした評価額を見て手が止まったら、いったんNISAの画面を閉じてみてください。
預貯金。
年金。
退職金。
住宅ローン。
これから予定している大きな支出。
一度、横に並べてみる。
売るか持つかの答えは、NISAの画面の中より、家計全体を見渡したときのほうが見つけやすいものです。
よくある質問
NISAが10%や20%値下がりしたら売ったほうがいいですか?
値下がり率だけで売却ラインを決めるのはおすすめしにくい考え方です。
同じ20%下落でも、2年後に使う予定のお金と、70代以降まで使わないお金では条件が変わります。
まず確認したいのは、その資金をいつ使うのか、近い将来の支出を預貯金でまかなえるか、現在の投資信託の値動きが家計に合っているか。
損失率は、そのあとに見る材料の一つと考えると整理しやすくなります。
50代でNISAが含み損でも積立を続けて大丈夫ですか?
含み損が出ていることと、今後の積立を続けることは分けて考えます。
保有中の商品を持ち続けられるとしても、教育費や住宅修繕などが近づき、預貯金が減っているなら、毎月の積立額を下げる選択も考えられます。
反対に、近い将来に使う資金を確保でき、積立額も家計に無理がないなら、値下がりだけを理由に積立を止める必要性は下がります。
まず今後数年の収支を確認してみましょう。
60歳や65歳が近いならNISAの投資信託を売ったほうがいいですか?
60歳や65歳という年齢を境に、一律に売る必要はありません。
2024年からのNISAは非課税保有期間が無期限です。
大切なのは、退職する年齢よりNISAのお金を実際に使う時期です。
65歳で退職しても、年金・退職金・預貯金で当面の生活費をまかなえる人なら、NISAをすぐ使わないケースもあります。
逆に60歳前でも数年以内に使う資金なら、現金化の時期を考え始めたいところです。
NISAを一部売却したあと、またNISAで買い直せますか?
2024年以降のNISAでは、商品を売却すると、その商品の取得金額に相当する非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。
100万円で購入し、80万円で売却した場合なら、翌年以降に再利用できる総枠は100万円分です。
ただし、その年の年間投資枠が売却分だけ追加される仕組みではありません。
「売ったらすぐ同じ枠が戻る」と考えず、買い直す時期も含めて確認しましょう。
50代のNISAは毎月いくら積み立てればいいですか?
「50代なら月5万円」など、年齢だけから積立額を決めるのは難しいところです。
毎月の収支、預貯金、退職までの期間、住宅ローン、教育費、退職金などによって無理のない金額は変わります。
特に値下がりしたときは、積立額を維持できる家計かも確認したいですね。
3万円・5万円・10万円で家計への影響を比べたい方は、積立額を比較した関連記事で詳しく整理しています。





